Balletweek Magazine

 

~ダンサーインタビュー~

映画『コール・ミー・ダンサー』公開記念 

Balletweek Magazine 独占取材‼

NEW 2024.11.5  更新

 

 <インドで生まれたリアル ビリー・エリオット!>

遅咲きのインド人バレエダンサーが

夢に向かってまい進する感動のドキュメンタリー

映画『コール・ミー・ダンサー』

 

 

この秋、日本でも公開されることになった『コール・ミー・ダンサー』の主役

であるマニーシュに、バレエウイークが突撃インタビューしてきました。

マニーシュのダンスにかける熱い思いと、彼を支えた周りの人たちに対する誠実な気持ち、そして家族を支える責任感

ダンサーとしてだけでなく、彼の生き方そのものがとても尊敬に値する

すばらしいものでした。

映画を観る前に、是非彼の思いをこのインタビューで

チェックしてみてください!!


◆プロフィール◆ 

Manish CHAUHAN

(マニーシュ・チャウハン)

 

1993年12月28日生まれ。インドのムンバイ出身。

大学生の時にボリウッド映画を観たことでダンスに興味を持ち、ブレイキンを独学で学び始める。

「インディアンズ・ゴット・タレント」や「ダンス・インディア・ダンス」などの人気リアリティ番組に出演し注目を浴びたことをきっかけに、ムンバイのダンスワークス・スクールに通い始める。そこで、イスラエル系アメリカ人の師イェフダ・マオールと出会いバレエを学んだ。

 

2020年、自身の半生を描いたNetflix映画「バレエ:未来への扉」で自身の役を演じる。

現在、ニューヨークのペリダンス・コンテンポラリー・ダンス・カンパニーでダンサーとして活躍している。

 

 ダンスのドキュメンタリー映画ーーといっても、いわゆるスターとなって成功を掴むことがゴールというだけのドキュメンタリー映画ではなかった。

『コール・ミー・ダンサー』…そこに描かれたものは、夢を追い求める力、ダンスを通して描かれる諦めない強い精神はもちろんのこと、人間の深い絆、愛情、そして責任。

生きていく上で出会える大切な人とのつながりとは、誰にでも起こりうるもの。ダンサーやこれからダンサーを目指したい人にはもちろん、すべての人に観てもらいたい。

そんな映画の主人公、マニーシュ・チャウハンの生の声をお届けします!!

 

 

★バレエウィーク(以下BW)★ 映画を観させていただきました!ダンスシーン含め、ダンスドキュメンタリーの面白さはもちろんのこと、マニーシュさんのひたむきな努力が生み出した素晴らしい人生にとても感動しました。

マニーシュさんにとって、踊ることの魅力とはズバリ、なんですか?

 

★マニーシュ★ それはすべてです(笑)‼

フィジカル性、音楽性、コネクション(つながり)。。。

特にパートナーと踊る時は、普段は人の身体に振れることはあまりないと思いますが、お互いに自然に触れることができて、強いつながりを感じることができ、時には言葉にできない純粋なコネクションをもつことができる。これが『ダンサーの言語』ということかもしれません。パートナーとの動き方で、その人はどんな人なのかを知ることもできます。ことばでは表せないものを知ることになる、というところが、踊ることのすばらしさだと感じています。

 

 

★BW★ 映画の中では、クラシックバレエだけでなく、ストリートダンスやコンテンポラリーダンスなど、様々なジャンルのダンスを踊っていますが、ご自分としてはどのジャンルのダンスが好きなのでしょうか

 

★マニーシュ★ すべてのダンスが次の新しいダンスのフォルムを学ぶ時の助けになっていったと感じています。ブレイクダンスがクラシックバレエを学ぶ時にも役立ったということです。コンクリートの上で踊れてたので、恐れ知らずでクラシックバレエにも挑戦して行けましたね(笑)。

また、コンテンポラリーダンスも、強さ、技術という意味では、特にフロアワークなどはブレイクダンス、技術面でもクラシックバレエがあったからこそ上達が早くできたので、すべて補完しあってる、つながっていると思っています。

一つどうしても選ぶとするのならば、ジャンルを問わず「派手な動きのダンス」が好きですね!!

 

 

 ★BW★ 映画を見て、マニーシュさんとイェフダさんの信頼関係にとても心を打たれました。

踊ることを通じて出会った様々な人々により、自分自身にどのような変化があったのでしょうか?

 

★マニーシュ★ イェフダ(指導者)とマリアム(パトロン)に出会えたことは自分にとって大きな宝でした。

マリアム は天使のように突然現れて翼を与えてくれ、背中を押してくれました。今までのこの道筋はスポンサーなくしては不可能なことでした。金銭的な部分がなければ別の場所に学びに行くことも、海外に飛び自分の才能を見せる機会を作ることもできなかったでしょう。

イェフダは特別な先生です。先生は生徒たちを自分のところに留めたい、守りたいという人が多いと思いますが、イェフダは「さあ、行きなさい‼」と背中を押してくれるタイプの先生でした。時期が来たら巣立ちをするようにプッシュしてくれる、そこにより大きな愛を感じてきました。

この二人がもちろん自分にとっては大きいし、映画の撮影にあたり映画監督からも学ぶことももちろんたくさんありました。

この十年、自分の人生をいろいろな方に変えられてばかりでした(笑)。みんな突然自分の人生に現れてくるんです!夢のようですね!!

現在東京に来ていることも驚きですが、ニューヨーク、ロンドンなどと世界中をめぐることもでき、そのような出会いに恵まれていることにも感謝しています。そしてなによりたくさんの方々との出会いに感謝しています。

 

 

★BW★ インドだけでなく、日本も欧米に比べてなかなかダンスだけで生活を支えていくのは大変なことだと思います。映画の中でもマニーシュさん自身がこの問題について触れているシーンが出てきましたが、実際にダンサーという職業と生活を支えるという部分については、どのようなお考えをもっていますか?

これから出てくる若いダンサーたちもぶつかる壁だと思いますので、是非マニーシュさんのご経験をお聞かせください!

 

★マニーシュ★ 僕自身も踊りだけでは生活はしていけなく、他の仕事もしています。どんな小さな仕事でも貴賤はないというように思っています。仕送りを毎月家族にしているのですが、愛する仕事をしながら、家族を支えなければいけないという責任を持っています。

踊りを含め、アートの世界はそれ一本で生きていくのは実際難しいと思っています。大規模で有名なアメリカのバレエ団などならなんとかなるのかもしれませんが、そうすると今度は次から次へと若いすばらしいダンサーが出てきて、コンペティションが生まれます。30歳くらいで次の再就職先を見つけないといけない、という状況になったりもするでしょう。

結局どのような状況下でのダンサーでも、次なるオプションはどこかで考えておかなければならないと思っています。指導者になる、振付師になる、またはフィルムメーカーになったっていい、なんでもいいと思いますが、次のオプションを考えることが大事だと思っています。

そして同時に今踊れていることに対しても、誇らしく思っていいと思っています!

 

 

 ★BW★ この映画に出演して一番良かったことはなんですか?

 

 ★マニーシュ★ 世界中の多くの方にこの映画が響いてくれているようなのですが、「夢がかなった」とは言えないのは自分を題材に映画がつくられること自体を夢見たことがなかったからなんです(笑)!!

この映画は自分にとっては『贈り物』のようなものです。

ドキュメンタリーですが、自分はまだ若すぎるので、見てくださった方のほうが人生経験が豊かだったりすると思います。でも、そのような方々がそれぞれインスピレーションを受けたと言ってくださったりして、この映画を通してそのインスピレーションを与えることができたなら、それはすごくうれしいことだと感じています。

 

 

★BW★ 最後に、この映画の気に入っているところ、これから見る人に一番伝えたい事はどんなことですか?

 

 ★マニーシュ★ この映画はダンスについてということだけではなく、普遍的なものをたくさんはらんでいる作品だと思っています。希望、自分の好きなものに対する情熱、忍耐強く最後までやり抜く力、そして師弟関係、父母と子の関係、兄妹関係、エイジズムにも触れる作品になっています。様々な角度から多くのことが描かれているので、ダンサーだけではなく、すべての人に見て頂きたいと思っています。

 

試写会を見終わって、映画作りを学んでいる息子さんがいるお母様と話す機会がありました。彼女が「「もうそろそろやめたら?」と息子に言おうと思ってたけれど、この映画をみて、彼をもっとサポートしていこうと思った。」と話してくれたんです。僕はそれがとても嬉しかったです。

映画を見ることでキャリアについて、夢をもっている子供がどのように思っているのか、また親がどう思っているのか、オープンに相手の立場を考えながら話せるような関係が築けるような、そんな作品になっているところがとても気に入っているところです。

 

 

★BW★ ありがとうございました。このインタビューにより、映画の公開がより待ち遠しくなってきました‼マニーシュさんの迫力あるダンスシーンを垣間見て楽しみながら、映画の描いている様々なテーマに共感、感動できることがこの映画の醍醐味ですね!

 

◆映画『Call me Dancer』の公式ページはこちら 

※記事の文章及び写真を無断で使用することを禁じます。

上記写真すべて © 2023 Shampaine Pictures, LLC. All rights reserved.

◆◆◆映画情報◆◆◆

インドで生まれたリアル ビリー・エリオット!

遅咲きのインド人バレエダンサーが、 夢に向かってまい進する感動のドキュメンタリー 

映画『コール・ミー・ダンサー』 

 

日程 2024年11月29日(金)~

劇場 新宿シネマ カリテほか全国公開 【劇場情報はこちら☞】

 

バレエの虜になった遅咲きのダンサー・マニーシュ 。彼を待ち受けていたのは、試練の数々だった 。監督は、長年にわたってダンサーとしても活躍したレスリー・シャンパインと、ドキュメンタリー作品を中心に手がけてきたピップ・ギルモア‼

 【STORY】

運動神経抜群のストリートダンサーだったムンバイに住む青年マニーシュ。偶然入ったダンススクールで気難しいイスラエル人のバレエ・マスター、イェフダに出会い、バレエの魅力にとりつかれた彼は短期間で驚くような成長を見せるが、バレエダンサーとして活躍するためには、マニーシュはすでに年を重ねすぎていたー。マニーシュの想いに答えるため、共に苦悩し、努力を続けるイェフダ。彼らは、自分たちが<何者であるのかを探し求めながら、互いの人生を変えていく。

世界のドキュメンタリー映画賞を席巻中!数々の困難にも、師を信じ、一歩ずつ前進するマニーシュの姿に熱く胸を打たれる、感動のドキュメンタリー。

 

詳細はこちら☞