Balletweek Magazine

 

~バレエ画家インタビュー~

第四回 山本すみれ個展

Balletweek Magazine 取材

NEW 2025.3.22  更新

 <元バレエダンサー画家 インタビュー

バレエのワンシーンをやわらかな水彩画で!

第四回 山本すみれ個展

「踊り手の視点で描くバレエ画」

  

バレエダンサーだったからこそ分かる身体の綺麗なライン、

現実の舞台以上の夢のあるバレエシーンを絵画の世界で再現…

山本すみれさんだからこそ描ける視点で、

バレエファンを魅了する作品が所狭しと展示されています

 

 

🌟個展情報はこちら☞🌟


◆プロフィール◆ 

山本 すみれ

(Sumire Yamamoto)

 

 

4歳よりバレエを始め、ロイ・トバイアス、谷桃子に師事。

東京バレエ劇場、谷桃子バレエ団研究所を経て、1974年谷桃子バレエ団入団。

 

1989年の退団まで、坂西(ばんざい)すみれの名前でソリストとして踊り、「イラストの描けるバレリーナ」としても活躍。

 

退団後「山本すみれ」の名前で振付指導に転じつつ、稲葉雪子に水彩画を師事。

武蔵野美術大学造形学部油絵学科(通信)でも学び、2009年3月卒業。

 

2010年 銀座J-trip Art Galleryにて初の個展

2012年 第二回個展 銀座ART FOR THOUGHT

2014年 第三回個展 銀座ART FOR THOUGHT 

小さな子供の頃から群を抜くバレエの才能を認められていた山本すみれさん。その後バレエのスキルを極めつつ、谷桃子バレエ団にて団員として活躍後、子供の頃から好きだった絵の世界へとのめり込んで行ったようです。

今回の第四回目の個展では、「眠れる森の美女」、「くるみ割り人形」、「白鳥の湖」などのクラシックの王道作品はもちろん、「ドンキホーテ」「バヤデール」「コッペリア」「シンデレラ」「ジゼル」「パティヌール」など多くのバレエ作品や稽古場でのシーン、舞台袖でのシーンなど、数多くの色彩豊かな水彩画が展示されていました。

 

バレエウィークは山本すみれさんにギャラリーにてお話をお伺いすることができました‼️

 

 

★バレエウィーク(以下BW)★ バレエダンサーから画家というあまりないユニークな転身かと思いますが、そのきっかけはどのようなことだったのでしょうか?

 

★山本 小さい頃からバレエを初め、いろいろと器用にこなせる子だったこともあり、小学校3年生くらいの頃にはその才能を認められて、大人に混じりくるみ割り人形の主役をやらせて頂いたことなどもありました。NHKに出させていただいたこともあったのです。そのような恵まれた境遇だったこともあり、そのままバレエの道に進んだのですが、小さい頃から絵を描くことも大好きでした。その思いがずっとあり、大人になってから美術の大学に入学しました。バレエの仕事を続けながら絵の勉強も始めました。その後、バレエに関する絵を描くようになりました。バレエ団時代もバレエのプログラムを飾る絵を描かせて頂いたり、バレエダンサーをしながら絵も描くようになりました。また、雑誌の連載で絵を描く機会を頂いたこともありました。そのような機会に恵まれ、今はバレエ画家としての活動に打ち込んでおります。

 

 ★BW★ バレエダンサーだったからこそ絵に生かせた点はありますか?

 

★山本 初めは自分の絵に自信がなく、自分は下手だと思っていたのですが、水彩画の先生にあることを気づかさせてもらったのです。美大に通っている時に、動いているモデルの人を描くという授業がありました。当時いらしたモデルのダンサーさんがあまり動きが上手い人ではなかったのですが、私はきれいな動きや踊るための身体のラインなどを知っているので、勝手に修正して描けてしまうことがありました(笑)。でもそれは他の人にはできないことでした。周りの生徒は動いている人物を描くのに苦労していた人が多かったのです。水彩画の先生がそれが私の個性であり、長所だと言ってくださり、それを育ててくれて背中を押してくださったのです。その先生のおかげで今があると思います。

自分より上手なバレエ画家さんはいっぱいいるのですが、描いたダンサーさんが上手には見えないんです。背中が死んでいると感じてしまったり(笑)。これはバレエダンサーであった私にしか分からないし、描けない、とその時思ったのです。

 

現在の洗練されたスキルを持つダンサーをドガが描いても上手く描けないと思うんです(笑)。昔はそこまで上手いダンサーがいなかった時代でしたからね!踊ることができるという強みを絵画にも投影できるということを利点と思うようになりました。

 

 ★BW★ 絵のテーマ選びはバレエに絞っているのですか?

 

★山本★ 毎回バレエがテーマとなっています。ただ、水彩画の先生のところでは20~30年近く、お花の絵ばかりを描いているんです。バレエの絵を本格的に描き始めたのは、美大を卒業するころでしたので。

 

 

★BW★ 画材やこだわりの技法などはあるのでしょうか?

 

★山本★ 以前はずっと油彩を描いてきました。最近は大きな油彩を描いたり運んだりするのが大変なこともあり、水彩画メインに制作しています。

特に技法というのはないのですが、描いている時はいつも踊っている気分で描くようにしているのです(笑)!!

そして、自分が踊れなかったところもより足を高くしたり(笑)、より上手に踊っているように描いたりと。自由自在です!

舞台装置も本物より豪華で華やかにすることも絵ならいくらでもできるのです。現実には破格な価格になってしまうような装置も絵では表現できるところが楽しいところでもありますね!

 

(写真は来場された方々にご丁寧に作品の説明をされている山本さん)

 

★BW★ 今回の一押し作品はどちらになるのでしょうか?

 

★山本★ ギャラリーの一番奥に飾ってある一番大きなお稽古場のシーンを描いた絵ですね。(写真一番上/山本さんと一緒に撮影したもの)「Costume Fitting」というタイトルの絵になります。

この絵は10年間かかって描いた集大成なのです。幸いにもいろいろなお稽古場に出入りできる身ですので、いくつものお稽古場を訪れて10年間描き貯めたデッサンを組み合わせて今回新たにデザインし描いた大作です。衣装合わせをしている子供達、衣装の直しをしてもらっている男の子、また、鏡に映っている練習しているダンサーたち、稽古を待つ子供たちなど、様々な要素を一堂に入れた一枚です。完成させたのは今ですが、10年かかってこの構図ができてきましたので、10年がかりでしたね。

 

また、「パティヌール(スケートをする人)」も思い出の一枚です。バレエの発表会のプログラムにした特別な作品です。自分が振り付けたこともありました。いろいろな思いの詰まった絵ですね。

 

様々なバレエ作品の絵がありますが、それを見てくださった人がそのバレエ作品も実際の舞台で見てみたい!と思ってもらえたらいいな、と常に思っています!

 

(写真は「眠れる森の美女」の様々なシーン)

 

 ★BW★ 山本さんにとって、バレエと絵画はどのようなものですか?

 

★山本★ バレエにおいても表現力はあったんだと思うのですが、自分が表現したいものがバレエだけでは難しかったんだと今では思っています。今は絵でそれを表現できているので、今が一番最高です!

 

ここまで辿り着く間には、バレエプログラム用のお仕事を頂いたり、新国立劇場のショップに絵を販売してもらったりと、いろいろな積み重ねがあり、一歩一歩自分の自信につながってきました。このように見に来て下さるみなさまの支援にもより、今回の4回目の個展を開くことができたと思っており、大変感謝しております。

 

 

 ★BW★ 

山本さんたくさんのお話を聞かせて頂き、ありがとうございました。

ギャラリーは、オープン前から徐々にお客様が集まり始め、すぐに多くのお客様で埋め尽くされてしまいました。山本さんを慕っている教え子の生徒さんたちも来場され、会場は一気に大賑わいとなりました。山本さんの人望の厚さを肌で感じられるようなひと時でした。

バレエファンにはたまらない色彩豊かなバレエシーンの数々の作品を楽しむことができました。

 

※絵画は購入することも可能。展示絵画のほか、その場ですぐ持ち帰り可能な小さなフレームの作品や、ポストカードセット、グリーティングカードセットなどのグッズ販売もありました。

 

◆◆◆個展情報◆◆◆

第四回 山本すみれ個展

「踊り手の視点で描くバレエ画」

 

日程 2025年3月20日(木)~23日(日)

開催時間 12時~17時

会場 GALLERY 表参道ROJI

   (東京都港区南青山3-18-4 ブライト南青山103)

入場料 無料

 

 

数々の全幕バレエや稽古場風景など、その中に居た元ダンサーが描いた水彩画、約30点の展示です。

 

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