バレエ公演レポート

NEW 2024.9.2  更新

~感動の舞台~

バレエ公演REPORT


 

バレエウィークゲネプロ&本公演取材レポート‼

 

Dance of Blue Project 東京公演

『7 Dancing Crackers』

-ONLINE SHOWCASE 3.0-

 

2024.8.8

@武蔵野市民会館 大ホール

 

 

 2020年より、静岡遠州地方の文化芸術の発展、後進の育成を目的に立ち上げられたDance of Blue Project。本公演の前身である『ONLINE SHOWCASE』は、2020年コロナ禍によって舞台芸術活動が停止してしまった際に、ダンサーが結集し、無観客の“オンライン公演”として開催されたのがスタートでした。今回の公演はその系譜に当たる3回目の公演で、その名の通りオンライン配信する事を念頭に、第1回東京公演として劇場にて開催されました。この公演は、日本の様々なバレエ団より、実力派メンバーが集まって構成されていますが、いわゆるガラ公演の枠に収まらない、“一本の大筋のストーリーを持たせる”事をコンセプトにしています。

 

  冒頭・終曲の『東京クルーズ』は、バレエとは無縁の一人の若者が“バレエ公演を観に行ったことがキッカケで人生が大きく動く”という話。1作品目の『Crackin’ 』は代表の安西健塁振付の新作で、公演のオープニングにふさわしく、これからの舞台をみるのが楽しくなるような演出が多く盛り込まれているプロローグ的な作品でした。若者を演じる齊藤耀と大森康正、牧村直紀の3名、そして10名のダンサーたちによるバレエドラマのスタートです。

 

 その後に続く各作品もストーリーを進める要素の一つとなっていました。もともと「7 Dancing Crackers」というタイトルは、くるみ割り人形『Nutcracker』と掛けてあり、若者が日常とは違う世界(劇場)にて作品『タリスマン』から始まるグラン・パ・ド・ドゥを、ディベルティスマン(小作品)形式に観ていき、最後は『くるみ割り人形』のクライマックスでもあるワンシーンを観て、元の世界に帰っていく・・・という流れで創作したとのことでした。

 

  『タリスマン』は「天界の女王二リチ」と「風神ヴァイユ」が地上へ向けて出発するシーンですが、佐々部佳代、新井悠汰 による作品で、端正な踊りとスケール感のあるテクニックで観客を魅了していました。

 続く3作品目は『ダイアナとアクティオン』からのグラン・パ・ドゥ・ドゥのシーン。このシーンはバレエ作品『エスメラルダ』の中の有名なワンシーンです。モスクワ国際バレエコンクールで1位を受賞し、話題となった大川航矢、寺田翠の本作品を静岡県の子供達であるDance of Blue のYouth選抜メンバーとともに共演しました。大川・寺田は海外仕込みの優れたテクニックで、この作品を引っ張っていき、全員で盛り上がりを見せた迫力ある舞台となっていました。

 その後は安西健塁と大島淑江による『ライモンダ』第1幕からのパ・ドゥ・ドゥ。クラシックバレエ作品の中でも人気ある代表作であり、そして本公演主催の安西の登場もあり、拍手が大きく鳴り響いていました。

 5作品目は『パリの炎』のグラン・パ・ドゥ・ドゥ。フランス革命を舞台にしたストーリーの作品で、テンポがあり切れのよい踊りが見せ場となっています。関野海斗と鈴木就子によるグラン・パ・ドゥ・ドゥは、ガラ公演にふさわしいテクニックで魅せる華やかな仕上がりとなっていました。

 そして迎えた最後の小作品は浅田良和と池田理沙子による『くるみ割り人形』のグラン・パ・ドゥ・ドゥ。こちらは0から代表安西がこだわりを持って振り付けた作品でした。代表へのインタビューにて新しい振付について聞いてみたところ、「「金平糖のヴァリエーション」は、生前チャイコフスキーが当時まだメジャーではなかった“チェレスタ”とうピアノとグロッケンの間のような楽器に魅了され、リムスキー・コルサコフやグラズノフに先を越される前に作曲したとされています。本ヴァリエーションはチェレスタの繊細な音をより意識して振付をさせていただきました。」と、音と動きのハーモニーへのこだわりと情熱を語ってもらえました。しなやかなポールドブラに滑らかなパドブレが印象的だった池井のヴァリエーションは、とても好感度を感じられる可愛らしいものでした。二人の気品ある端正な踊りで、2作品目からのクラシック作品集を締めていました。

 

 

 終曲の『東京クルーズ』は、壮大なメロディーラインに4つ打ちビートのダンサンブルな音楽と、現代的でのびやかな振り付けで、観ているこちらの心が躍り、感動を誘う演目でした。人々のドラマと感情、出来事が交差する東京を感じさせるような作品で、1作品目の『Crackin’』の演出と最後の作品がつながり、今日この会場に足を運ばれた観客の皆様が様々な感情を抱いたに違いない、と感じることのできる心に残る作品でした。齊藤耀演じる若者が、『くるみ割り人形』からの振りを模して踊るシーンなども散りばめられ、前の作品との絡みをユニークに表現しているところなどを見つけるのも楽しみの一つでした。

  作品に登場したダンサーたちは、どの作品もファンからの拍手で包まれて、温かな空気に包まれて幕が閉じた舞台でした。 

 

最後に、代表に今後の舞台への意気込みをお伺いしたところ、次のようなお言葉を頂きました。

「Dance of Blue Projectは常々“新しいバレエの表現”を意識し、活動を行ってまいりました。公演の回数を重ねる毎に、偉大な先人達に残していただいた伝統芸術をしっかりと次代に継承していく事の重要さもひしひしと感じています。

情報の多い現代社会においてバレエでしか伝えられない感動を皆様に伝えていけるよう、私を含めプロジェクトとして成長していけたらと思っておりますので、今後とも応援の程どうぞよろしくお願いいたします!!」

 

次回のDance of Blueの公演も楽しみに、観に行きたいと思います。

 

 

【公演概要】

Dance of Blue Project 東京公演 『7 Dancing Crackers』-ONLINE SHOWCASE 3.0-

日時 : 2024年8月8日(木) 

開場:18:00 開演:18:30

会場 : 武蔵野市民会館 大ホール

チケット価格: SS席6,600円、S席5,500円、A席4,400円

 

〈出演〉

池田理沙子 浅田良和 寺田翠 大川航矢 佐々部佳代 関野海斗 齊藤耀 新井悠汰 鈴木就子 大森康正 大島沙彩 牧村直紀 圓札 茉由 大島淑江 安西健塁 大貫千尋 志村朱紀 高橋奈歩 鳥居彩夏 古川茉帆 松田 みなみ 山田 茉子 山本 菜月

〈特別出演〉

Dance of Blue Youth(「ダイアナとアクティオン」 コール・ド・バレエ)

稻村彩華 佐原穂乃花 佐藤美月 須賀美桜 鈴木わかな 坪井はな 長谷川萌衣 浜名芽

 

主催:Dance of Blue 

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 9月中旬頃より

本公演は『ONLINE SHOWCASE 3.0』として

YouTubeにて公演映像を配信予定‼

 

お楽しみに‼